こんにちは!ティールミュージックスクールです。
今日はボーカルレコーディングにおけるリバーブの設定について解説します。もちろん、楽曲のスタイルやボーカルの役割によってリバーブのかけ方は異なりますが、以下のようなポイントを考慮すると、自然で効果的なリバーブを設定できます。参考になれば幸いです!
リバーブのタイプ
それではまずリバーブの種類を見ていきましょう。リバーブは大きく次の3種類に分けることができます。
Hall(ホール)リバーブ: 広い空間をシミュレートするため、バラードやクラシックでよく使われます。
Room(ルーム)リバーブ: より小さな空間感を再現し、ボーカルが埋もれにくい設定です。自然な響きを得たい場合に効果的です。
他にはチェンバータイプやスプリングタイプもあります。
プリディレイ(Pre Delay)
プリディレイ(Pre Delay)は、音にリバーブがかかるまでの時間を表したものです。短い場合はリバーブのかかった音がすぐに広がり、長い場合はクリアなボーカルを保ちながら後からリバーブによる空間の広がりを感じさせます。具体的なタイム設定は
• 60ms以上: よりディレイ(遅れてくる)感があり、エコー的な効果が強まります。
といった感じです。ボーカルは曲の主旋律となりますので、他の楽器と比べて長めに設定することが多いですね。
ディケイタイム(Decay)
ディケイ(Decay)とはリバーブの残響がどれくらい続くかを決めるパラメータです。おおよその基準は以下の通りです。
• 3秒以上(3.00s以上): ドラマチックな効果を出すときやバラードでは、長めのディケイタイムが使われることが多いです。
もっとも、近年ではあまりにも長いロングリバーブは少なくなりましね。特に日本の曲は1小節の言葉数も多くなって、リバーブが被りやすくなってしまうのも要因の一つだと思います。
ディケイの概念についてはこちらのサイトが分かりやすいです。
アタック、ディケイ、サスティーン、リリースについて
リバーブのミックス量(Wet/Dry)
リバーブがかかっていない元の音とリバーブがかかった音のバランスを調整していきましょう。それぞれDry、Wetと呼びます。
Wet(ウェット): リバーブなどのエフェクトがかかった後の音です。リバーブ効果によって、空間的な広がりや反響が追加された音になります。
リバーブエフェクトの設定では、Wet/Dryバランスを調整することで、エフェクトのかかり具合を決めることができます。
Wetの量を多くするとリバーブが強くかかり、音が広がって響いているように感じられ、大きなホールや教会のような空間の音に近づきます。
Dryの量を多くすると、元の音がはっきりと聞こえる状態になり、エフェクトのかかり具合が少なく、音のクリアさが保たれます。それぞれの音楽性によってこのバランスには正解がないのですが、おおよその基準は以下の通りです。
ポップスやロックの場合
• Wet:20~30%
• Dry:70~80%この場合、ボーカルはクリアで前に出る必要があるため、リバーブは控えめに使います。軽いリバーブで音に少しの広がりや奥行きを加えつつ、主張するボーカルを維持します。
バラードやアコースティック系の場合
• Wet:30~50%
• Dry:50~70%
バラードやアコースティックの楽曲では、温かみや感情を引き出すためにリバーブがやや多めに使われることが多いです。空間的な広がりや感情のニュアンスを強調するためにリバーブを強めに使います。
クラシックや教会音楽のようなジャンルでは、もっと極端にwetを多めにするのもありですね。
EQでの調整
リバーブをどの周波数帯域にかけるのかをEQ(イコライザー)で調整していきます。
リバーブが低音に効きすぎてしまうと、全体のミックスが濁りがちです。リバーブにかかる低音域をカットする(例: 150Hz以下を削る)と、スッキリした響きになりますし、高音域(10kHz)以上を削ると耳障りな高音域を削れるというメリットがあります。このあたりはボーカル以外の楽器とのバランスにも左右されるので、実際に聴きながら調整していくのがおすすめですね。楽曲のテンポや雰囲気によって、リバーブの設定が異なることも忘れずに試してみてくださいね。
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