最近の曲はなぜ難しいの?

こんにちは。ティールミュージックスクールです。
いきなりですが皆さん、最近の日本の曲って難しくないですか?笑
今回は最近の日本における楽曲の難しさについて、その理由を個人的に考察していきたいと思います。

昔の曲は簡単だった?

そもそも、昔の曲は全て簡単だったのかと言われたらそうではないと思います。
しかし今から20年ちょっと前の高校生であれば、ギターのパワーコードさえ覚えられたら当時流行していた楽曲を文化祭で演奏ができました。それほど高音が出なくても、ボーカリストとして歌も歌えました。
モンゴル800の「小さな恋のうた」はその代表例かもしれません。

この曲は今聴いても素晴らしい名曲ですが、転調もなくコードは5個しか使われていません。ボーカルの最高音もmid2G#(G#4) と、頑張れば男性でも出せない高さではないと思います。
しかし今はそんなことを言ってられない印象です。
男性曲でも女性でも出すのが難しい高音が入っていたり、転調が多くギターやベースは譜面を覚えるだけでも大変ですね。

なぜ最近の曲は難しいのか?

ではなぜ最近のJ-popヒット曲は難しいのか?
「曲が増えて目新しいコード進行が少なくなってきたから」
というのは大きな理由かもしれません。
しかし、エド・シーラン、テイラー・スウィフト、ブルーノ・マーズ等洋楽のトップアーティストの楽曲は未だにシンプルなコード進行が使わています。もちろん日本でもシンプルなコード進行で作曲をする人気アーティストはまだいますが、以前に比べると数が減ってきている印象です。
その理由は一つだけではないと思うのですが、個人的に大きな要因として「日本語独特の表現」、「DTMの進化」、「ボーカロイドの普及」が影響しているのかなと思っています。

日本語独特の表現

そもそも以前から邦楽は洋楽よりコード進行が複雑だと言われていました。
よく洋楽と比較されるのが邦楽におけるBメロの存在です。
洋楽では比較的Aメロからサビに突入するがケースが多く、そのことが邦楽のコード進行を複雑にしているというものです。

なぜ邦楽にはBメロが必要だったかというと、「1小節に詰め込める言葉の情報量に限りがあるから」と言われています。
例えば、英語なら「I Love you」という歌詞を1拍に詰め込んで、それを1小節内で4拍繰り返すことは可能かと思います。
しかし、日本語で「私」という主語と「あなたを」という目的語と「愛している」という動詞を入れてしまうと、とても1拍では表現できません。それを1小節で4拍繰り返すなんて無謀です。笑
こういった歌詞に詰み込む情報量の差から日本独特の「Bメロ文化」が出来上がり、複雑なコード進行の土台として成立していったのかと思います。

DTMの進化

近年のDTMの進化は凄まじく、パソコンによる打ち込み音源のクオリティも決してバカにはできません。
ドラムの打ち込み音源をドラマーに聞かせたら「これ打ち込みなの?」と驚かれたという話も実際に聞いたりします。笑
優秀なプラグインもどんどん開発され、自宅で作曲をしたり曲のミックスをしたりすることが容易になりました。
Mrs. GREEN APPLEの大森さんも、Dawソフトで打ち込んだ音源をメンバーに聴かせて演奏してもらうという手法を取っているようです。
2024年のヒットソング「ライラック」はイントロのギターが難しすぎると話題になりましたが、このギターも元々は大森さんが打ち込んだ音源とのことで、初めて聴いた時にギターの若井さんは「これ、ギターの音だよな・・・。」と絶望したとのこと。笑

YOASOBIAYASEさんも中古のマックブックを片手にDAWソフトLogic proで作曲を始めたという話が有名ですね。
初期の頃はパソコンとヘッドフォンのみという恐ろしくシンプルな組み合わせで作曲をしていたようです。
AYASEさんの作曲環境
そういったDTMの進化が、近年増えた難しい楽曲の背景にはあると思います。

ボーカロイドの普及

DTMの進化に加えボーカロイドの普及によって、YouTubeやニコニコ動画を通し作者は自ら歌うことなく作曲のスキルをネット上に披露することが可能となったのは近年の大きな変化かと思います。

今となっては国民的シンガーソングライターの米津玄師さんも、元々はニコニコ動画内で「ハチ」という名義のボカロPとしてその作曲スキルを高く評価されていました。あれだけ歌が上手くても初音ミクを使っていたんですから驚きですよね。
初音ミクを使っているボカロPの方はたくさんいらっしゃると思いますが、誰が使っても初音ミクは初音ミクです。
となると、違いを生み出すためにはボーカル以外の要因、つまり楽曲の構成やアレンジが重要になってきます。
その中でボカロPの皆さんが「安易なコード進行で曲をつくりたくない」と思うのは当然の流れではないでしょうか。
コード進行を複雑にしていけば必然的に転調が多くなりますよね。
東京2020オリンピックの応援ソングとして米津玄師さんが作曲した「パプリカ」もサビで転調します。

もちろんそれだけでボーカロイド曲がJ-Popを難しくしたとは言い切れません。しかし、YOASOBIや米津玄師さんといったボカロPをルーツにもっているアーティストが紅白歌合戦にも出演する国民的アーティストとなっている事実は決して見過ごせないかと思います。

最近の曲で高音が多いのはなぜ?

最近の曲に高音が多いのも「DTMの進化」や「ボカロの登場」の影響が大きいのかなと感じます。ボーカロイドは速い曲の中でも正確に高音が出せますし、人間ではとても不可能に思えるような早口言葉も可能です。息を吸わなくてもいいですからね。笑
そういった既存の楽曲にはないようなメロディーを求めていった結果、高音が多かったり速くて歌うのが難しい楽曲が多くなったのではないでしょうか。そして難易度の高い楽曲をつくる「ボカロP」とそれを歌いこなす「歌い手」の登場も近年の大きな変化です。
まふまふさんやAdoさんは歌い手の代表的存在かと思いますが、お二人が紅白歌合戦に出たのも時代を象徴する出来ごとだったかと思います。

YOASOBIAYASEさんもいったんボーカロイドで歌を入れて、それを幾田りらさんに聴かせて歌ってもらうという形でレコーディングしているようですが、YOASOBIの歌の難しさもそういったところに要因があると思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
これはあくまでも個人的な見解なので、反対意見もあると思います。
しかし近年の楽曲の難しさは皆さん実感されているのではないでしょうか?
斬新な転調や展開に出会うと、「よく思いついたな」とか「これだけ転調しててキャッチーなメロディーをつくれるのはすごいな」とか思いますが、老婆心から昔のシンプルな進行もいいよな~とか思ったりもします。笑
今後も日本の音楽シーンに注目ですね!

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