VUメーターとピークメーターの違いとは?
こんにちは!ティールミュージックスクールです! DAWソフトを使って曲を作ったはいいけど、ボリュームの調整が上手くいかない事ってありますよね?
バウンスしたら音が小さ過ぎたり、逆に大きくしたら音割れしたり。
そんな時に大助かりなピークメーターとVUメーターについて解説します。
DTM(デスクトップミュージック)におけるピークメーターとVUメーターは、音量を視覚的に確認するためのツールですが、そもそも役割が違うんですね。
まずはピークメーターとVUメーターの違いについて説明していきましょう!
1. ピークメーター (Peak Meter)
ピークメーターって何?
ピークメーターとは、簡単に言うと音の「大きさ監視係」みたいなものですね。
音楽制作をしているときに、音がどのくらい大きいのかを目で見えるようにしてくれる便利な道具です。
主に3つの大事な役割があります。
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- 1つ目は、音が大きすぎて歪んじゃう(クリッピングする)のを防ぐこと。音が0dBを超えちゃうと音が汚くなっちゃうので、それを防ぐためにピークメーターで監視するというものです。
- 2つ目は、曲全体のバランスを整えるのに役立ちます。例えば、ドラムとベースの音の大きさのバランスを取りたいときに、ピークメーターを見ながら調整できます。
- 3つ目は、マスタリングの時の基準になること。最終的な音の大きさを決めるときに、ピークメーターを見ながら全体の音量を調整していきます。
ちなみに最近のDTMソフトだと、ピークメーターはDAWの画面上に表示されていて、緑や黄色、赤といった色で音の大きさを表示してくれます。赤になったら要注意!ってことですね。
Logicではこのフェーダーの右上にある赤い部分がピークメーター(ピークレベルディスプレイ)となります。
具体的なピークメーターの特徴は以下の通りです。
• 音の波形の最高点をリアルタイムで表示。
• 応答速度が速いため瞬間的な変化(例えば、大きなスネアのヒット)にも正確に反応。
• 測定単位→dBFS(Full Scale)
• 0 dBFSがデジタルシステムでの最大値(クリッピングポイント)となり、これを超えると音が歪んでいく。
• マスタリングや録音時に重要。
• あくまでも瞬間的な最大値を測り平均的な音量感は把握しにくいため、人間が聞いた音量感と誤差が出やすい。
2. VUメーター (Volume Unit Meter)
VUメーターって何?
VUメーターは、ピークメーターの兄弟的な存在ですね。人間の耳に近い感じ方で音を計測してくれるのが特徴です。主な役割として2つの役割があります。
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- 1つ目は、VUメーターで「平均的な音の大きさ」を見るというものです。例えば、曲の中でずっと鳴っているベースの音とか、全体的な音の響きを確認するのにピッタリなんですね。人間の耳って瞬間的な音の変化はあまり分からず、平均的な大きさの方が気になるものなのですが、そういう意味でVUメーターは人間の感覚に近いです。
- 2つ目は、全体的な音量バランスを見るのに使います。実際の使い方としてはボーカルのレベル調整、楽器同士のバランス調整、全体的な音圧の確認なんかによく使われますね。昔のアナログ機器の時代から使われている伝統的な計測器なので、今でもプロのエンジニアさんたちには重宝しています。
ちなみにピークメーターとVUメーターは相性バッチリで、両方使うことでより正確なミックスができます。ピークメーターで瞬間的な音の飛び出しをチェックしながら、VUメーターで全体的なバランスを見る…という感じですね!
具体的なVUメーターの特徴は以下の通りです。
• 人間の耳が感じる音量感に近い値を表示する。
• 応答速度が遅いため瞬間的な音量変化には追従せず、全体的な音量感を滑らかに表示する。
• 測定単位→VU(Volume Unit)やdB(デシベル)。
• ミックス全体のバランス調整に使いやすい。
• 音楽全体の「聴き心地」を確認する際に役立つ。
• 瞬間的なピーク(最大音量)を把握するには適していない。
ミックスでの活用法
では実際に2つのメーターをどのようにミックスで使用していくのかを説明します。
ミックス前半
各トラックのバランスを取る際は、VUメーターを優先します。これにより、聴覚上で自然なバランスに調整できます。ゲインステージングと呼ばれている作業ですね。
厳密な値は出せませんが、VUメーターが0VU付近(-18dBFS付近)を目安に安定していれば、ボリュームが適正範囲にあると考えられます。この時に、0VUに届かなかったり、超えてしまってもあくまで平均して針が0VUを指していれば大丈夫です。
できればコンプレッサー等の音量系のプラグインを通す前にメーターで値を確認し、ボリュームを整えるといいでしょう。
そしてトラックでは全てのフェーダーを±0で統一しておくことが大切ですね。
ミックス後半
ピークメーターを使って、クリッピングや不要なピークがないかを確認します。特にマスタートラックでは、ピークが0dBFSを超えないよう注意します。リミッターをマスターバスに入れてみるのもいいですね。
併用のポイント
ピークメーターでクリッピングしないよう「安全な範囲」を確認しつつ、VUメーターで「聴覚的なボリュームを整え、感覚的に心地よいバランス」を調整するといったところがポイントです。
先程、ピークメーターで0dBを超えた音は歪んでいくと説明しましたが、多少超えても意外と大丈夫だったりすることもあります。この辺りはしっかりと自分の耳で最終判断をすることが大切です。
補足
LogicではVUメーターはインストールしなければいけないので、無料のプラグインをインストールするのがオススメです。
おすすめはTBProAudioの「mvMeter 2」です。こちらのプラグインではRMS値も測定可能です。
mvMeter2のダウンロードはこちら
• VUメーターはRMS値とほぼ同じように動作しますが、完全に一致するわけではありません。
• VUメーターは主にアナログ機器用に設計された計測器で、特定の応答速度に基づいて音量を表示します。
• RMS値はデジタル的に計算された正確な平均値で、VUメーターよりも客観的な指標です。
VUメーターとRMS値の違いをどう活かすか?
• VUメーター➡直感的に「どのトラックが埋もれているか」「バランスが取れているか」を素早く判断。
• RMSメーター➡正確な数値で、音量の基準や目標を定めたい場合に活用(マスタリング時等)。
マスタリングでの基準値
一般的なミックスのRMS値の目安は、-14dBFS~-10dBFS程度(ジャンルによる)ですが、現代ではラウドネス規格(LUFS)に基づくメーター(LUメーター)を使うことも一般的になっています。一般的なストリーミングサービスでは-14LUFSが一つの基準になっていて、YouTubeも-14LUFSを上回ると圧縮されてしまいます。
Logic Proでは標準プラグインのLoudness MeterからLUFSの測定が可能です。
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