ビブラートのかけ方
こんにちは!ティールミュージックスクールです!
声楽家やポップスシンガーの美しい歌声に欠かせない「ビブラート」。今回はビブラートの仕組みと、実際の練習方法についてご紹介したいと思います!
早速、ビブラートがどんな仕組みで出来ているのかを早速説明していきましょう!
ビブラートの仕組み
ビブラートの核となるのは、声帯と呼気の関係です。歌手が声を出す際、声帯が振動して音を作り出しますが、この時に横隔膜や腹筋、肋間筋などの呼吸筋群が微細にコントロールされた圧力変化を作り出します。その結果、声帯に当たる空気の圧力が周期的に変化し、音の高さや強さが規則的に揺れ動きます。それがビブラートの正体です。
ビブラートをかける上で特に重要なのが、筋肉群が協調して運動することです。
具体的には以下の3つの筋肉が協調して動くことが大切だと言われています。
腹筋群→細かな圧力をコントロールする
喉頭筋→声帯の緊張度の微調整をする
これらが0.1秒から0.2秒程度の周期で協調して動くことで、心地よい揺らぎが生まれます。
と言っても、実際にどうすればいいの?ってなりますよね。笑
ではビブラート習得の練習方法について説明していきます!
ビブラート習得への道のり 〜基礎から応用まで〜
まず、最も重要なのが安定した呼吸のコントロールです。ここでしっかりと基礎を固めましょう。
第一段階 呼吸の基礎固め
まずは腹式呼吸(横隔膜式呼吸)の習得がマストとなります。なぜなら、腹式呼吸は息のコントロールがしやすいからです。
走った後に、息をハアハアさせることを「肩で息をする」なんて言ったりしますよね?
あれは胸式呼吸になるのですが、胸式呼吸は息を吸ってすぐに吐きたくなってしまう呼吸なんです。
安定した息の供給が必要なビブラートには不向きとなりますので、しっかりと腹式呼吸を習得していきましょう。
腹式呼吸の習得
毎日10分程度、仰向けに寝て、本やスマートフォンを腹部に置き、呼吸で上下させる練習を行います。これにより、横隔膜の動きを実感できます。
具体的には家で寝ているお父さんを想像してみましょう。笑
いびきをかきながら寝ているお父さんのお腹って、「息を吸い込むとお腹が膨らみ、息を吐くとお腹がへこんでいる」はずです。まずはこの状態に慣れていくことが大切です。
ロウソク練習
30cm程度離れた位置からロウソクの炎を揺らさないように息を吹きかけ続ける練習。これにより、一定の強さで息を吐く力が養われます。と言っても実際にはロウソクを用意して練習するのは大変なので、人差し指をロウソクの代わりに見立てて練習してみるのがおすすめです。
この時に一定の風圧を感じるようにしてみて下さい。
他には細いストローを使用して、少しずつ息を吐く練習をするのも効果的ですね。
第二段階 声の安定
安定した声量と音程で一定の時間声を出せるようになることが、ビブラート習得の土台となります。
ロングトーンの練習
1音を10秒以上、音程と音量を変えずに伸ばす練習をしてみましょう。毎日5分程度、異なる高さで実施します。
この時に大事なのは無理のない高さの音で練習するということです。
無理に高音を出そうとすると力みが出てきて喉に力が入ってしまい、ビブラートが出やすい状況と正反対になってしまいます。
自分が無理をせずに出せる範囲の音程でロングトーンを練習してみて下さい。
母音練習
「アー」「エー」など、各母音で安定した声が出せるまで繰り返し練習。できるだけ同じ音程で練習して、全ての母音に対して喉に力が入らないよう注意します。特に「イ行」は口を横に開き過ぎて喉が締まってしまう方が多くいます。こちらも無理のない自然な形で母音の練習をしてみて下さい。
第三段階 響きの習得
安定したロングトーンが出せるようになったら響きを意識してみましょう。
呼吸に続き、「響き」がかなり重要なビブラートのポイントになってきます。
ハミングの練習
声を安定して鼻腔に響かせられるようにハミングを練習してみましょう。実際に鼻を触りながら、ハミングをしてブルブルと鼻が震えるのを感じてみて下さい。
ハミングのやり方が分からない方はこちらの動画で確認してみて下さい。
ハミングのやり方
鼻濁音の練習
ハミングの後は実際に鼻濁音を使って練習してみましょう。
言葉を使って鼻腔に響かせるのはより難しくなってきます。なぜなら言葉によって口の形や舌の使い方が変わってくるからです。
そこで、比較的鼻腔に共鳴させやすい、「マ行」や「ナ行」を使って実際に練習してみましょう。
場合によっては「ミャ」や「ニャ」等の言葉でも構いません。重要なのは正しく発語することではなく、しっかりと鼻腔に共鳴させていくことです。そこをしっかりと意識して練習してみましょう。段階を踏んで、難しい「カ行」「ラ行」でも鼻腔に共鳴出来るように練習してみましょう。
第四段階 揺らぎを加える
ここからが本格的なビブラートの練習の始まりです。
サイレン練習
滑らかに音程を上下させる練習。最初はゆっくりと、徐々にスピードを上げていきます。イメージとしては甲子園のサイレンを想像してみるといいと思います。低いところかゆっくりと音程を上げていき、今度は徐々に下がっていく感じです。そこから徐々にスピードをあげていきましょう。
スタッカート練習
「ハッハッハッ」と腹部から規則的に息を送り出す練習をします。これにより、ビブラートの土台となる筋肉の動きを習得します。この時に一番大事なのは上半身の脱力です。極端に言えば肩から上は全ての力を抜くくらいでいいでしょう。できるだけ鏡を見ながら練習することをお勧めします。なぜなら自分が気付いていない力みが顔に出てくることが多いからです。
スピード調整練習
その次はメトロノームを使い、様々な速さでビブラートをコントロールする練習をしてみましょう。具体的にはBPM120くらいのスピードの8分音符の感覚で音程を揺らす練習をしていきましょう。音の高さは無理のない高さで、半音または全音の間隔で音程を揺らしてみるのがいいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?カラオケでもビブラートが加点要素にありますし、憧れる方は多いと思います。
しかし、焦りは禁物です。一番大事なのは力みのない自然な発声です。
まずはそこをしっかり意識しましょう。
「力を抜くなんて簡単だ」と思う方もいるかもしれません。
しかしそれが一番難しいというのもボイトレの真実です。
自分の意識では力を抜いているつもりでも、意外と力が入っているものです。私も先生に「眉間にしわが寄ってるよ!」と言われてハッとした覚えがあります。
脱力を意識して、呼吸の安定と響きのコントロールを習得していきましょう。
どんな言葉でも安定した呼吸と響きのコントロールが出来るようになればかなりビブラートが出しやすい状況になります。
焦らず、自分の声と向き合いながら段階的に練習してみて下さいね!
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