ジェイソン・ムラーズ

ジェイソン・ムラーズがギターを弾いている写真

こんにちは。ティールミュージックスクールです!
今回はジェイソン・ムラーズについて解説してみたいと思います!私は今から20年以上前に名古屋のZIP-FMというラジオ局から流れる生演奏を聴いてからの大ファンで、ライブにも2度行きました。
そんなジェイソン・ムラーズの生い立ちから追っていきましょう!

生い立ち

ジェイソン・ムラーズ(Jason Mraz)は、1977年6月23日にアメリカ合衆国バージニア州メカニックスビルで生まれました。メカニックスビルは本人曰く、「アメリカの普通の町」ということです。父親のトム・ムラーズは郵便局員、母親のジューンは銀行員ということで、本格的な音楽一家という訳ではないのですが、幼少期からピアノを習っていたようですね。
両親は幼い頃に離婚しましたが、このことはジェイソンの人生観にも大きな影響を与えることになりました。
「Love For A Child」という曲はそんな複雑な幼少期の体験を元にできたようですが、本人は「行き来する家族が2つあって良かった」「当時は僕のような両親が離婚をする家がたくさんあった」とも語っています。色々と思うことがあったのは間違いないようですね。本人は「将来的にも子どもをつくる予定はない」と公言しています。

音楽との出会い〜アルバム紹介

高校時代にはミュージカルに出演し、演劇にも積極的に参加していたジェイソンは、その後ニューヨークのアメリカン・ミュージカル・アンド・ドラマ・アカデミー(AMDA)に進学します。しかし途中で退学し、故郷のバージニアに戻ります。この時友人の影響でマジックにもハマっていたようです。
その後、カリフォルニア州サンディエゴへ移り、音楽活動を本格的に開始しました。

サンディエゴへの移住を選んだ理由としては「色んなミュージシャンが様々なコーヒショップでライブをしているのを見て音楽が盛んな街だと思った」と語っています。
ジェイソンもサンディエゴのコーヒーハウスや小さなライブ会場で演奏を重ねファンを獲得していきますが、この時期に大きな出会いとなったのがジェイソンの長年の相棒となるジャンベ奏者トカ・リヴェラの存在です。この二人のハーモニーの相性は本当に素晴らしく、ジェイソンも「まるで兄弟のよう」と語っていますね。
二人は主に、「Java Joe’s」というカフェで定期的にライブをするようになり、すぐに大盛況となりました。

Java Joe’sでライブをしていた頃のジェイソン・ムラーズ

同じくサンディエゴの音楽シーンで活躍し、後に婚約することなったトリスタン・プリティマンともこの時期に出会っていたようです。約3年に渡り地元サンディエゴで地盤を固めてデビューを果たします。
それではジェイソン・ムラーズのアルバムを1枚ずつ振り返っていきましょう。

Waiting for My Rocket to Come

2002年、エレクトラ・レコードと契約し、デビューアルバム Waiting for My Rocket to Come をリリース。このアルバムからシングル「The Remedy (I Won’t Worry)」がヒットし、一躍注目を浴びることになりました。この曲は病気になった友人に向けて歌った曲で、「Remedy」とは治療薬の意味があります。私が初めてジェイソン・ムラーズの曲を聞いたのもこの曲ですね。
Java Joesでのライヴ経験を活かしてライブ感のあるアルバムにしたかったと語っていましたが、実際はライブの方がずっといいです。笑
このアルバムの収録曲「Curbside Prophet」等、ラップをポップなメロディーに落とし込む天才としても、ジェイソン・ムラーズの名を世界に轟かすアルバムとなりました。

Mr. A-Z

その後、2005年にMr. A-Zにリリース。これは「ミスターエートゥーズィー」と読むのですが、実際にジェイソンのお父さんがMRAZのスペルを説明する時に使っていた言葉でした。
MRAZというのはアメリカでも結構珍しい姓のようですね。
このアルバムは個人的にジェイソンの複雑な音楽性が垣間見える作品かと思います。
最初の作品よりかはポップな要素が控えられていますが、かっこいいですよ。ファーストアルバムから続きラップ調の曲をポップに昇華した「Wordplay」が代表曲ですが、このアルバムの象徴的な曲はOnly Humanでしょうか。
Only Human

We Sing. We Dance. We Steal Things.

さらに2008年にアルバム「We Sing. We Dance. We Steal Things」をリリースし、特に「I’m Yours」(2008年)は世界的大ヒットの曲となり、グラミー賞にもノミネートされました。この曲は本人曰く、「15分くらいで出来た」そうで、単純なコード進行ながら圧倒的にキャッチーなメロディーが印象的です。
日本でもビール会社のCMに採用されていましたね。日本での認知度も飛躍的に上がったアルバムと言えるかと思います。
ジェイソン的には「人の鼓動と同じBPMが人間にとって一番効き心地がいい」といったアルバムのコンセプトもあったようで、ミドルテンポで明るくキャッチーなメロディーの楽曲が多いアルバムとなっています。

Love Is a Four Letter Word

また、2012年のアルバム 「Love Is a Four Letter Word」からのシングル「I Won’t Give Up」もかなりの大ヒット作品となりました。
この曲のPVでは今までの短髪で爽やかな印象だったジェイソンが長髪で髭を蓄えた容姿となり、かなりファンを驚かせることになります。
個人的にも、「え!?どうしたの!?」と思いました。笑
このアルバムはジェイソンにとって決意表明のようなアルバムとなっています。
「Four Letter Word」というのは「4文字の単語」という意味があるようで、これは『「Love」も「Fuck」と同じようなスラングと同じだ。』という事が言いたかったようです。
後にインタビューで「ラジオ局に行って「Love」と言うとDJに鼻で笑われるんだけど、それって結構傷つくんだ」と語っていることからも、ジェイソンが愛を語る上で覚悟を決めたアルバムであるのは間違いないと思います。このアルバムを機によりメッセージ性の強い曲が増えていった印象です。

yes

2014年にはアコースティックバンド Raining Jane とのコラボアルバムとなる「yes」を発表します。このアルバムはその名の通り肯定的なメッセージ性の強いアルバムですね。ちょっと安直すぎる感想ですが、実際にこのアルバムを聴いていると心が浄化され前向きになれる気がします。社会的なメッセージ性がある曲というよりは、心の持ち方に対するメッセージ性の強いアルバムです。
「3Things」では人生の困難に直面したときにポジティブな視点を持ち続ける大切さが歌われていて、「捨てる」、「学ぶ」、「進む」という3つのステップで前向きに生きることを説いています。
フォークソングっぽいと評されることもあるこのアルバムですが、Raining Janeにはチェロやシタールのバンドメンバーがいることもあり、幻想的な雰囲気もあります。
個人的には「You Can Rely on Me」が好きですね。

Know.

前回のyesに引き続き、2018年に「Know.」がリリースされました。knowとは、自分の心の声を聞いて、自分が知っていることに従い、人として成長し続けていくことの大切さを知ってほしいという想いが込められたアルバムのようです。
このアルバムに入っている名曲「Love is still the answer」からもジェイソンが変わらずに愛をテーマに歌っていることが分かりますね。
ジェイソンはこのアルバム制作時の前後に、声が出なくなり思うように歌が歌えない時があったようですが、その時に「自分の声を正しいことに使わないといけない」と強く感じたようです。
「Have It All」はこのアルバムの代表曲ですが、なんと僧侶のメッセージを訳したことで授かった曲とのこと。本人曰く「ラップソングに乗り移った祈りの言葉で、人々と共有されるために作られた曲」だそうです。
この曲を聴いた時、個人的には初期の頃のポップさが戻ってきたと感じて少し嬉しかったですね。2段階に渡るサビのキャッチーなメロディーは流石のソングライティングです!

Look for the Good

「yes」と「know」が比較的似た音楽性のアルバムだったのに対し、2020年にリリースされたLook for the Goodは全編レゲエサウンドを取り入れていれたアルバムとなり、サウンド面では前作と打って変わったものとなりました。
元々ジェイソンはレゲエが好きで、ライブでは人気曲「The Remedy (I Won’t Worry)」をレゲエ調にアレンジして演奏することも多くあります。
そういった意味では、これまでの音楽性の延長線上にあるアルバムとも言えますね。
「Look for the Good」という曲からは「どんな時でも良いことを探そう」というポジティブなメッセージ性があり、これまでのジェイソン通り前向きなメッセージ性が印象的ですが、中には社会的なメッセージが込められている曲もあり、「Hearing Double」という曲ではニュースやメディアの情報に惑わされず、自分の目や耳で真実を見極めることの大切さが語られています。

Mystical Magical Rhythmical Radical Ride

そして2023年には「Mystical Magical Rhythmical Radical Ride」というアルバムをリリースします。いや、長い名前ですね。笑
“人生”を乗り物に例え、「人生がミスティカル、マジカル、リズミカル、ラディカルなライド(乗り物)だ」と表現したかったようです。
このアルバムは名前の通り、神秘的だったり魔法っぽくもあり、リズミカルでもある楽曲たちが揃っています。お母さんに「手遅れになる前に、ダンスミュージックをつくりなさい」とアドバイスされたこともあり、今までのジェイソンの曲にはあまりなかった80年代っぽいディスコサウンドやファンクっぽい曲もあります。「I Feel Like Dancing」のPVではジェイソンらしいコミカルな演出もあり、見ているだけでとても楽しめます。ダンスができない私も踊りたくなるようなサウンドです!笑

ジェイソン・ムラーズの音楽性

次はジェイソン・ムラーズの凄さについて、一つずつ分けながら深掘りしてみましょう!ここからはオタク目線の解説かもしれません。笑

歌の上手さ

ジェイソン・ムラーズのすごさは色々とあるのですが、最も人々に強い印象を与えているのがその歌唱力だと思います。元々持っているスイートな声の良さはもちろんなのですが、音程やリズムの正確さも凄まじいと思います。特筆すべきはリズムの良さで、初期の作品では特にラップ調の曲が多く、その圧倒的なリズムの良さが顕著に出ていました。
この歌唱力がジェイソンの音楽性の広さに通じている部分がかなりあると思います。どんなジャンルでも歌いこなせてしまうのは本当にすごいですね。
ここ数年はより、「自分の声を正しいことに使おう」という意識が芽生え、初期の頃よりも「世の役に立てるよう自分の声を使うこと」を意識しているようです。メッセージ性の強い楽曲にも、その声の存在感でしっかりと意思を吹き込めるのもジェイソンのすごさですね。

ギターの上手さ

前途した通り、歌の上手さに目が行きがちですが、ギタリストとしても一級品の素晴らしいアーティストです。
個人的に、一番影響を受けたギタリストと言っても過言ではありません。
ギターはキャリア初期から今に至るまで、Taylorのギターを使用しており、今やTaylor社のギターを使用する代表的なアーティストの1人です。
本人によれば「Taylorは地元(サンディエゴ)の会社で気心の知れた人たちが作っている安心感がある」とのことで、ジェイソンが圧倒的な信頼を寄せているのも分かりますね。

特にパーカッシブな打音を使ったフィンガーピッキングや、ミュートを多用したピック弾き等、リズミカルなギターの全てが歌と一つになってその楽曲を引き立てています。どんな奏法もやはり圧倒的なリズムの良さがジェイソンのギターを支えていますね。ライブではナイロン弦のエレガットやウクレレを使用することもあります。

私が当時聴いていたギターの弾き語りの印象を変えてくれたのが、ジェイソンがラジオライブで披露をしてくれた「The Remedy」でした。当時の音源に近いライブ映像がありましたので、下の画像をタップして是非ご覧になって下さい。

The Remedy(acoustic)

曲の良さ

先程、アルバムを1枚ずつ紹介した時にも述べましたが、音楽のバックボーンが広く、多彩な曲を世に送り出せるのもジェイソン・ムラーズのすごさです。
アコースティックなフォーク、ラップ、ジャズ、レゲエ、ディスコサウンド等、常に飽くなき探究心で色んな曲を書いてきました。ジェイソンは「この仕事を始めた時から、僕は自分の腕を上げようと努力してきたし、新しい体験を追い求めてきた。同じような曲を何度も作りたくないし、そのために時には違うジャンルに踏み込んだり、作ったことがないメロディをつくるよう心がけている」と語っています。
思わずクスッと笑ってしまうようなコミカルな曲から、人間の本質に迫るような力強いメッセージ性のある曲等、歌詞の幅広さも大きな魅力の一つと言えると思います。

ライブの良さ

ジェイソン・ムラーズのライブに行ったことがある方なら分かるかと思うのですが、彼の本当のすごさはそのライブパフォーマンスにあります。
前途したように、彼はサンディエゴのJavaJoesというライブハウスでそのキャリアをスタートしていて、言わばライブ叩き上げのアーティストです。
実際にライブを観ていると、とてもエネルギッシュでユーモアにあふれています。曲中にMCを挟んだり、違う人の曲を急に歌いだしたりと、観客を飽きさせない工夫がすごくされているので、単純に時間が立つのを忘れてしまうくらい楽しい感じですね。
最近はバンド編成もより大人数になっているのですが、一人の時やトカ・リヴェラさんと二人でライブをしている時は特に即興的な演奏も多く聴衆を楽しませてくれます。
本人的には「小さいな会場では聴衆の反応を見るのが楽しいし、大きな会場では音響の良さに感動したりする」とのことで、小さなライブハウスや大きなコンサートホールに関係なくライブを楽しんでいるようですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?ジェイソンムラーズについては、これまでもコラムに書いてみようと思いながら好きすぎて書きづらいと思っていました。笑
今でもラジオから流れてきた「The Remedy」の演奏を聴いた瞬間のことを思い出します。次の日にすぐCDを買いに行きました。
決定的に好きになったのは初めてジェイソンのライブを見に行った時で、2006年のことです。

当時のツアータイトルは「ジェイソンのオタク祭り」という中々すごい名前でしたね。笑
名古屋CLUB QUATTROで見たのですが、当時はお客さんも200人程度でしたでしょうか。そこまで規模が大きいライブではないのに全力で観客を楽しませるジェイソンに感動しました。
それから他のアーティストのライブをたくさん見に行きましたが、未だに「ジェイソンのオタク祭り」を超えるライブはありません。
皆さんも是非、ジェイソン・ムラーズのライブに行ってみて下さいね!

自由が丘のボイトレ、ギター教室ティールミュージックスクールのHPはこちら

関連記事

  1. ジョン・メイヤーの写真

    ジョン・メイヤー

  2. 音階練習の大切さ!

  3. サンバーストカラーのアコースティックギター

    アドリブ初歩-keyを当てよう!

  4. key(キー)って何だろう?メジャーキーやマイナーキーについ…

  5. 太めのギターストラップ

    初心者におすすめのギターストラップ

  6. ショートスケールのsquire 「jaguar」

    ショートスケールのギターってどうなの?

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。