大人になっても耳コピは上達する!


今日は大人になってからも耳コピを出来るようにする学習方法を紹介したいと思います!

私は音楽講師を15年以上やっていますが、絶対音感もなく講師になりたての頃はコードの耳コピにかなり苦労しました。

どうしても分からないコードは当時一緒に働いていたピアノの先生に聞いたりもしていましたね。

そんなコードの耳コピですが、最近では昔に比べてかなり早く出来るようになった実感があります。

では実際に私がどのように耳コピを上達してきたか説明していきましょう!


耳コピの半分は理論を使う!


「耳コピというと全ての音をしっかりと聴いて音を当てる」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は「ある程度理論に基づき推測する」のが賢明です。そうすれば一つずつ音を聴き取るよりずっと時間が短縮されます。

そこで、まずは耳コピしたい楽曲のkeyを発見するところから始めましょう!

その前にそもそも「keyって何なの!?」「keyを見つけるってどうすればいいの!?」

という方は下のリンクで確認できますのでご覧になって下さい。


keyって何なの?

楽曲のkeyを見つける方法はこちら


楽曲のkeyが分かったら、そのkeyのダイアトニックコードの中からコードを当てはめながら探してみましょう!

ダイアトニックコードとは、すごく簡単に言ってしまえば「そのkeyによく出てくるコードたちの集まり」です。

なので、keyが分かればおおよそのコードが推測できるという訳ですね。

下の表がダイアトニックコードの表です。


メジャーキーのダイアトニックコード表

基本的にはそれぞれのkeyに対して横に見ていきます。


例えばkey=Gの場合はG、Am、Bm、C、D、Em


のコードがよく出てくるよ!ということですね。F#dimは、ちょっと特殊なコードなので一旦忘れて大丈夫です!

特に左から1番目と4番目と5番目のコード(key=Gの場合はG、C、D)主要3コードとも言って、かなりの高確率、高頻度で出てきます!


マイナーkeyの場合は?


これだけだど曲の最初と最後のコードがAmで、「この曲ってAマイナーがkeyっぽいけど、この表ではAmがkeyの場合が分からないな」というケースが出てくるかもしれません。しかし、そんな時は基本的に表の左から見て6番目のマイナーコードをkeyだと考えて下さい。

つまり、key=Amはkey=Cと基本的に同じコードが出てくるよ!と考えて大丈夫です。


ベース音を聴き取ろう!


keyが分かってそのkeyのダイアトニックコードを把握したら、次にやることはベース音の聴き取りです。そのベースの音をルート音にもつコードをダイアトニックコードの中から選んで当てはめていきましょう。

例えば、「key=Eの時にその1小節全体でベースがド#を弾いてる!」となった場合、その1小節のコードはkey=Eの6度マイナーに当たるC#mである可能性がかなり高いです。実際に1小節内のベースが全てド#を弾いていなくても、コードチェンジしたタイミングで一番最初に鳴っているベース音がド#なら、C#mを前提に考えてみて、実際に楽器で合わせて弾いてみます。そして違和感がなければC#mと考えていいでしょう。


それでも合わない時はオンコードを疑う!


例えば、「key=Eでベースの音を聴いているとソ#だから、ここのコードはG#mで間違いないと思うんだけど、G#mを弾くとなんか違う気がする・・・」ってこともあるかもしれません。その場合はダイアトニックコードの中でソ#を構成音に持つコードのオンコードを疑いましょう。

具体的に言うとEコードの構成音は「ミ、ソ#、シ」となっていて、基本的にはミが一番低い音(ルート音)になっていますが、ソ#を一番低い音に持ってくることも多々あるのです。この場合コードはE/G#となり、G#mが合わなければE/G#を当てはめて試してみるといいでしょう。


そもそもベース音がダイアトニックコードになかったら?


上記で説明した通り、「基本的にはダイアトニックコードを当てはめていけばコードが全て見つかるよ!」と言いたいのですが、残念ながらそうは言い切れません。

昔のフォークソングやよく売れている洋楽のポップソングは比較的ダイアトニックコードで楽曲のコード進行が構成されているケースが多いのですが、最近の日本の曲なんかはとても複雑化しています。

例えば「key=Cの時にベース音がソ#を弾いている!でもkey=CのダイアトニックコードにG#をルートに持つコードなんてないぞ!」と思うことがあるかもしれません。こういう場合は別個でコードを考えてみましょう。


まずはメジャー系かマイナー系かを調べる!


ダイアトニックコードにないルート音を発見した場合は、その音と3度の音を同時に弾いて、メジャー系のコードかマイナー系のコードかを判別させていきます。上記を例にすると、ソ#をルートにした場合、3度の音がドであると(ソ#から半音4つ分高いと)G#メジャー系、3度の音がシであると(ソ#から半音3つ分高いと)G#マイナー系のコードであるということが分かります。

なぜメジャー系かマイナー系で分けるかと言うと、基本的にはほぼ全てのコードがメジャー系かマイナー系に分かれていくからです。


ここで「ソ#とドの組み合わせだとなんか気持ち悪いな、でもソ#とシの組み合わせはこのコードにしっくりくる!コードはG#mだ!」と意気揚々にG#mを弾いてみてもやっぱり合わないと落胆することがあるかもしれません。そんな時は5度の音(ソ#から半音7個分高い音)を半音下げて考えてみましょう。そうするとG#dim(ソ#、シ、レ)のコードが完成するのですが、これが結構ハマったりします。


パッシングディミニッシュはよく出てくる!


最近のコード進行でよく出てくるのがpassing dim(パッシングディミニッシュ)と呼ばれるコード進行です。

先ほどの例で言えば、key=CでG#というルート音は基本的に出てこないのですが、G→G#dim→Amといった風にベース音を半音ずつ高くする際に使います。G→Amという進行でもいいのですが、G#dimを使って流れよくpassing(通過)させてしまうんですね。


セカンダリードミナントもよく使う!


セカンダリードミナントとは、簡単に言えばそのkeyのダイアトニックコードに対してアクセントになるコード進行です。この進行も非常によく出てきます!


例えば、key=Cの時に、ベースの音がA(ラ)だったら普通はAmを想定します。でも、「Amを弾いているとなんか合わない・・・」という時はそのコードを一旦置いといて次のコードの耳コピをします。この時にもし次のコードがDmであった場合、一個前のコードはA7である可能性が高いです!

このセカンダリードミナントはダイアトニックコードのそれぞれのコードに対して強い導音的な力を発揮する進行で、そのコードに対して完全5度(半音7個)上に7(セブンス)コードを作る手法を用います。それをまとめたのが下の表です。

まとめ


いかがでしたでしょうか?基本的に知っておいた方がいい知識を元に耳コピをすると、圧倒的に耳コピ上達のスピードがあがります。

コードの耳コピのコツは、上記したパッシングディミニッシュやセカンダリードミナントのように「前後のコード進行の関係性から考える」というものです。

一度行き詰まったら次のコードを耳コピしてみるのも大切ですね。

近年では曲中で転調する曲もとても多くみられます。この場合は面倒ですが、「AメロとBメロはkey=Gだけど、サビはkey=Eだな」と考えて耳コピしてみて下さい。東京オリンピック公式ソングで有名なFoorinの「パプリカ」が正にそうなってます。

皆さんの耳コピ上達に少しでもお役に立てたら幸いです!


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